- Q1キレーション療法はどのようなものですか?
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キレーション療法とは、動脈硬化が進行するのを予防したり、血管の健康状態を回復するために行う治療です。
血管のエイジングケアが全身のエイジングケアに繋がることから、一般的にはエイジングケア療法の一つと位置づけられています。キレーション療法は、心筋梗塞患者の多いアメリカの医療機関の多くで提供されているようですが、日本では受けられる医療機関があまり多くありません。
北青山Dクリニックでは、国内でまだキレーション療法の普及が進んでいなかった2000年から導入し、その後も継続して治療を提供しています。
キレーション療法はメスや麻酔を使用せず、点滴で行われるので、安全かつ体に優しい治療です。EDTAと呼ばれるアミノ酸の一種を投与します。 - Q2EDTAとはどのようなものですか?
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EDTAはエデト酸とも呼ばれ、工業用だけでなく食品や化粧品にも使われている化合物です。 EDTAは金属イオンをカニのはさみのように挟み込み結合するという性質があり、キレーション療法ではその働きを利用して人体の中にある有害な金属質を選択して取り除きます。
人体には、鉛、水銀、カドミニウムのような有害な金属が知らぬ間に徐々に蓄積されており、がんや動脈硬化、認知症など様々な疾患を引き起こす原因になることがあります。EDTAは、これら体内に蓄積している有害な重金属を取り除きますが、フリーラジカルの発生を抑制する効果もありますので、動脈硬化・がん・糖尿病などの疾患予防にもつながります。 ※Ca-EDTAやNa-EDTAというように結合しているイオンが異なる製剤がありますが、血液中ではCaやNaから遊離したEDTAが効果を発揮しますので、どちらのタイプの製剤でも効果は変わらないと考えられます。Na-EDTAは投与の際に血管痛が激しく、送達に時間がかかるということから(3時間程度)、北青山Dクリニックでは短時間(15分程度)で送達が可能な新しい製剤Ca-EDTAを採用しています。 - Q3CaEDTAとはどのような製剤ですか?
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キレーション製剤はNa2EDTA、MgEDTA、CaEDTAなどがあり、この順に歴史があります。前者二つは投与実績が長期に渡りますが、投与の際の血管痛や急速投与による重篤なトラブルの報告があります。
CaEDTAは2000年頃から使用されるようになった比較的新しいキレーション製剤ですが、急速投与が可能で投与による重篤なトラブルが報告されていません。短時間で十分量のキレーション製剤を安全に投与できるため当院ではCaEDTAを採用しています。また、EDTAはマイナスイオンで、安定して人体に投与するために、プラスイオンである、Na、Mg、Caが採用され、先に記した3種類があるわけですが、臨床事例の報告が多いのは歴史のあるNaEDTAです。
ただ科学的に考えてEDTAと組むプラスイオンが何であれ、薬理効果を表すのは血管内で遊離されたEDTAであるので、これらのどのキレーション製剤を用いてもEDTAによるキレーション効果に差異はないと考えられます。
CaEDTAは、自験例で、心筋梗塞の症状改善例、動脈硬化改善例、頸動脈プラーク改善例などを多く確認しています。CaEDTAは短時間で安全に大量のEDTAを投与できる唯一の製剤です。 - Q4どのような目的で行われるのですか?
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北青山Dクリニックでは、動脈硬化の予防と改善を主な目的としています。 動脈硬化が進行すると、アテローム性動脈硬化症(動脈硬化症)として様々な症状が引き起こされます。動脈硬化は複数の要因が組み合わさって起こりますが、その要因の一つが有害重金属の体内への異常な蓄積です。 キレーション療法の動脈硬化に対する効果に関しては多くの研究がされており、血流自体の改善のみならず、病的な症状が実際に改善した例も多数報告されています。 そのメカニズムについては諸説あり、活性酸素除去説、カルシウム代謝調節説、血管拡張ホルモン誘発説などが有望視されています。 近年行われたNIHの大規模なキレーション療法の臨床試験でも、動脈硬化に起因する心筋梗塞の改善効果に関する報告がなされました。 ➤詳細はこちら なお、美肌(ハリ、つや)などの美容的エイジングケアを目的として治療を提供する医療機関も見られますが、そのエビデンスに関してはまだ十分ではない印象があります。
- Q5動脈硬化は健康にどのような影響を及ぼしますか?
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動脈硬化は、心筋梗塞、脳梗塞、脳卒中、認知症など、多くの疾患の原因となります。動脈硬化により血管が狭窄すると血流が減少するため、重要な器官への酸素と栄養素が行き渡らなくなり、その結果、疲れやすい、肌の調子が悪いなどの老化現象が引き起こされます。また、動脈硬化は間接的に高血圧の原因にもなります。
- Q6キレーション療法により、体にどのような影響が現れますか?
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キレーション療法により、血管柔軟性や血管内腔のコンディションが整えられます。それにより血行が改善し心臓、脳などの主要臓器の機能が保たれたり、病的な症状が改善し得ます。 また、加齢現象の原因となる活性酸素の除去効果により、様々な老化現象が回復することも期待されます。
- Q7キレーション療法と動脈疾患治療の相互関係はどのようになっていますか?
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キレーション療法により、動脈硬化の改善が期待できますので、動脈疾患による症状の改善も期待できます。すなわち、使用中の動脈硬化関連治療薬の減量や中止が可能となる場合もあります。
- Q8安全性や副作用はどうなっていますか?
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キレーション療法は、大変安全な治療法と考えられていて、アメリカでは現在までに100万人の患者さんが2000万回以上の治療を受けています。今までに正しく行われたキレーション治療が直接の原因で亡くなった人は報告されていません。
副作用として血管の痛み、頭痛、疲労感などが発生する場合が時にありますので、初回の治療の際はそのような副作用が発生しないかを確認します。副作用が生じた場合も、点滴速度を遅らせるなどの対応により問題なく治療を行うことができる場合が殆どで、一般的には治療を進めるにつれて症状が緩和されるようです。 - Q9飲酒や喫煙の習慣がある人でも、キレーションの効果はありますか?
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喫煙のフリーラジカル発生に対する影響は甚大と思われるので禁煙は必須と思われますが、アルコールに関してはキレーション効果を著しく下げる科学的根拠が確認されません。
- Q10キレーションを受ける回数や頻度について教えてください。
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何らかの症状改善(胸痛、息切れなど)を目的とする場合は1~2週間に1回のペースが理想的です。症状改善が目的でなければ、キレーションの頻度は月1回程度で十分と判断します(動脈硬化改善、増悪予防という目的であればその頻度で十分と思われます)。キレーションの実施間隔を短くするよりも継続して反復実施することの方が重要と考えます。
- Q11キレーション療法の効果は、自分でどのように確認すればよいですか?
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キレーション療法を受けた患者さんの多くから、疲れやすい、顔色が悪いというような今まで持続していた症状がなくなったという声が聞かれます。 患者さんの周りにいる家族や周囲の友人が、ご本人が健康的で元気になっていることにいち早く気づくこともあるようです。 北青山Dクリニックでは、治療効果判定の検査を希望される方に、動脈硬化度や活性酸素によるダメージの測定を行っています。
➤詳細はこちら - Q12北青山D.CLINICのキレーション製剤の投与時間は15~30分と他の医療機関と比べて非常に短いですが、投与量が少ないということでしょうか?
また、有害重金属の排泄効果のみで動脈硬化に対する治療効果は乏しいということはないですか? -
キレーション治療にはEDTAが用いられますが、EDTAは単体では非常に不安定です。
そこで、安定した形で体内に投与するためにNa(ナトリウム)やCa(カルシウム)などを組み合わせます。
すなわち キレーション製剤には、主として
①NaEDTA
②CaEDTA
の二つがあり、
①は短時間で投与できませんが
②は十分なEDTAを投与するのに極めて短時間で実施できることがわかっています。
①は以前から長く使用されており関連文献が多いので今でもこちらを使用する医療機関が多いようですが、
②は2000年以降欧米では主軸キレート製剤として重宝されており当院でも安全に短時間で投与できることを確認していますので、②を用いたキレーション治療を20年以上継続して提供しています。
当院では、1回のキレーションで 3gのCaEDTAを15~30分で投与しています。一方、NaEDTAは1.5g程度を投与するのにも90分ほど時間を要するといわれています。
キレーションには、
動脈硬化改善と有害重金属排泄の二つが代表的な特徴として期待されています。
動脈硬化には②よりも①が適しているという見解を提示している情報サイトもありますが、米国の公的機関であるNIHが、過去にキレーションの動脈硬化と有害重金属排泄効果に関する調査結果を公表しておりますが、
https://search.nih.gov/search?utf8=%E2%9C%93&affiliate=nih&query=chelation&commit=Search
私たちも2000年から②を用いて動脈硬化が改善した自験例を多数確認しています。
また、10年以上の長期にわたってキレーションを受けている方々の血管が同世代の平均的な方々の動脈の状況と比べて非常に若々しいことからキレーションは長期の安全性や効果においても問題ないと判断しています。