メールでご予約 お電話でのご予約:受付時間月~土9:30~18:00

脳出血(脳内出血)とは

トップページ > 脳卒中(脳梗塞やくも膜下出血等)とは > 脳出血(脳内出血)とは

血管が破綻し脳を破壊 - 脳出血(脳内出血)とは

脳出血(脳内出血)とは:イメージ画像

脳出血(脳内出血)とは、脳内の血管がなんらかの原因で破綻を起こし、脳実質内に出血を来す疾患です。脳内に出血したことにより形成された血の塊を血腫といい、この血腫が大きい場合には、頭蓋内圧が上昇し、頭痛・嘔気・意識障害が起こります。 脳内出血の60%は高血圧が原因で脳血管に血管壊死が起こり、微小血管が破れて出血を起こすと言われています。しかしながら、それ以外にも脳動脈の血管奇形や血管腫等が原因となる場合もあり、慎重な鑑別を必要とします。

高血圧の早期治療が普及したため、近年その数が有意に減少していますが、重篤なものでは、依然として死亡率75%にも及ぶ疾患です。高血圧症及び動脈硬化がみられる年齢、すなわち50歳代から60歳代の方によく起こります。

高血圧性脳出血の症状

高血圧性脳出血は、どの血管が出血するかによって症状が異なります。

被殻出血
(ヒカクシュッケツ)
出血側と反対側の手足の運動麻痺と感覚障害が起こります。出血量が多いと共同偏視(両側眼球が片側を向いた状態で固定してしまう)、意識障害などを認めることもあります。左側の出血では失語症を伴います。
視床出血
(シショウシュッケツ)
出血側と反対側の手足の運動麻痺と感覚障害が起こります。出血が脳内の髄液の交通路である脳室内へ流入し、閉塞性水頭症(髄液の交通路が出血により閉塞し、脳内に髄液が貯留したために脳圧が亢進し、脳が圧迫されて頭痛、嘔吐、歩行障害、意識障害等の症状を呈する)を示すこともあります。
小脳出血
(ショウノウシュッケツ)
突発する頭痛、嘔気、めまい、歩行障害にて発症します。発症から数時間で意識障害を伴うものが多く、出血側の四肢の失調や末梢性顔面神経障害、外転神経障害を伴います。
脳幹出血
(ノウカンシュッケツ)
脳幹の中でも特に橋に出血することが多く、昏睡、呼吸障害、四肢麻痺、過高熱など、重度の症状で発症し、24時間以内に死亡する可能性が高いです。

脳出血(脳内出血)の危険因子

高血圧性脳内出血の危険因子としては、脳卒中の危険因子に加えて、男性であることや、肝機能障害があります。血小板の少ない方や抗血栓・血小板薬を内服している場合には出血が大きくなり、重篤化する傾向にあるようです。

脳動静脈奇形による脳出血(脳内出血)

若年者にみられる脳出血(脳内出血)の原因-脳動静脈奇形とは?

脳動静脈奇形:イメージ画像

脳動静脈奇形(のうどうじょうみゃくきけい)は、‘奇形’と名のつくとおり、脳内血管の先天性異常で、動脈、毛細血管、静脈等の分化がはじまる胎生3週頃発生するといわれています。

脳動静脈奇形では、動脈から毛細血管、静脈へと流れる正常の脳循環が欠損しており、動脈から流入した血液は毛細管を介することなく、直接静脈へ流入します。正常の脳循環で、静脈には、血液が動脈の十分の一程度の圧で流れていますが、脳動静脈奇形では、動脈圧のまま血液が静脈へ流入します。 このため、過大な負荷がかかり、静脈が増大・拡張することがあります。また、これらの拡張した静脈が、その圧に耐え切れなくなって脳出血(脳内出血)を来すことがあります。

脳動静脈奇形による脳出血(脳内出血)の特徴と治療

脳動静脈奇形による脳出血(脳内出血)の特徴と治療:イメージ画像

突然の激しい頭痛、嘔気・嘔吐に始まり、麻痺や失語など、出血によって損傷された部位の症状を呈します。

重症例では、意識障害を呈する場合もあり、患者の10%は初回出血により命を落とすと言われています。くも膜下出血を起こすことも少なくありません。出血以外の症状としては、しばしば、けいれん発作で発症する事もあり、片頭痛様の頭痛を呈することもあります。

脳動静脈奇形による脳出血(脳内出血)の特徴としては、一旦、出血が起こった後でも、再出血の可能性が比較的少ないところにあります。通常、出血していない段階で脳動静脈奇形が診断された場合、年間出血率は2%〜3%といわれています。つまり、脳動静脈奇形を持っている人が100人いれば、その内、1年間以内に脳動静脈奇形が出血する人数は2人〜3人で、残りの97人〜98人は何ともないということです。出血を起こした場合でも初回出血後、1年以内に再度出血にみまわれる可能性は6%前後で、経過観察中に繰り返し出血を起こすような例は稀です。

したがって、出血を起こした場合でも、血腫が大きく、脳を圧迫するため緊急に血腫除去を必要とする場合や、生死に関わるような場合でなければ、通常、保存的に経過観察を行い、詳しく検査した後に神経症状の回復を待ってから治療を行うことが多いです。

このように脳動静脈奇形では、再出血の可能性が低い場合が多いのですが、20歳台や30歳台の若年者で発見された場合には、余命が40年以上期待され、その間に出血する可能性は70%程度あると言えます。したがって、症状の軽い早期に診断を行い、発見された場合には、(安全な治療が可能であれば)できるだけすみやかに治療を受けることが大切です。

脳卒中の関連リンク