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くも膜下出血の治療について

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くも膜下出血の治療

脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血を予防するには、先ほど述べた危険因子を減らすことが非常に重要です。しかしながら、すでに脳動脈瘤がある程度の大きさに達している方の場合には、これらが破裂し、重症のくも膜下出血を呈する前に早期診断を行い、処置することが肝心です。

未破裂脳動脈瘤について

未破裂脳動脈瘤について:イメージ画像

まだ、破裂していない脳動脈瘤(未破裂動脈瘤)が脳ドックなどで偶然に見つかった場合、これが破れてくも膜下出血を起こす可能性はどのくらいでしょうか。

未破裂動脈瘤の年間破裂率は、欧米で最も権威のある論文雑誌のひとつ、New England Journal of Medicineに、破裂脳動脈瘤に合併しない未破裂動脈瘤に対して10mm以下の大きなものが破裂する可能性はは0.05%/年という発表が1998年になされ、未破裂動脈瘤に対する治療方針に一石を投じました。未破裂脳動脈瘤は必ずしもその人にとって破れるとは限りませんが、しかし破れると重大な結果を招きます。

予防的治療については、日本脳ドック学会の手術適応ガイドラインは脳動脈瘤が硬膜内にある、動脈瘤が5mmより大きい、年齢が70歳前、重篤な合併症がないを目安としていますが、現段階では未破裂動脈瘤のある患者様に治療をお勧めする目安として、妥当ではないかと思います。

破裂脳動脈瘤に対する治療

脳動脈瘤の破裂による、くも膜下出血の治療には以下の二つの方法があります。

開頭クリッピング術

開頭クリッピング術:イメージ画像

最も確実な治療のひとつです。くも膜下出血の原因は脳動脈瘤の破裂が多く、一旦出血を起こすと、この破裂部位を処置しない限りは、出血を繰り返し致命的となります。この脳動脈瘤に特殊な金属のクリップをかけて、二度と出血を起こさないようにする手術をクリッピング術といいます。

この手術は、通常、頭蓋骨を開き(開頭術)、手術用顕微鏡の下で行います。開頭クリッピング術は、熟達した術者が行う場合、最も確実な治療と言われていますが、脳の深いところに存在する動脈瘤では非常に困難であったり、また、手術中に脳動脈瘤から出血したりする可能性があります。

くも膜下出血の後で再出血予防のため一刻も早く、手術により出血源を処理することが重要ですが、患者の状態が著しく悪い場合には手術ができなかったり、前述の脳血管攣縮の時期には手術が、脳の血管の状態を悪化させることが知られており、手術を行うタイミングが非常に難しく患者の予後を左右します。

血管内治療による脳動脈瘤の塞栓術

血管内治療による脳動脈瘤の塞栓術:イメージ画像

脳血管撮影と同様の方法で、患者の足の付け根に針を刺し、大腿動脈から大動脈を通って細いカテーテルといわれる管を通して、脳の血管の中まで持っていき、脳動脈瘤の膨らんでいる内部に金属のコイルを詰めて、出血しないようにする方法です。

利点としては、全身麻酔や開頭の必要が無く、患者の状態や年齢に左右されずに安全に再出血を予防させることができると言う点です。しかしながら、比較的新しい治療であり、脳動脈瘤をこの方法で詰めた後も、数パーセントの患者では動脈瘤の再開通が認められるなど、確実性は開頭クリッピング術に劣ります。

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